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学生の皆さんへ

ハイパーカミオカンデは、完成すれば世界最大のニュートリノ・核子崩壊実験装置となります。

ニュートリノはなんでも通り抜けてしまう幽霊のような素粒子で、実験で調べるためには装置の大きさがその実験性能を決める大きな要因になります。核子崩壊を探す場合においても、現在世界最高感度を持つスーパーカミオカンデの10倍という大きさを持つ事により、核子崩壊を発見する可能性が高まります。新しい実験事実を発見することにより、素粒子理論の新しい枠組みを作り出すこともできるかもしれません。現在ハイパーカミオカンデグループは、2027年の観測開始を目標に建設を進めています。

グループ内での検出器開発や物理感度研究には多くの国内外の大学院生が参加しています。 国内では東京大学、宇宙線研究所、京都大学、東工大、岡山大、慶應義塾大等多くの大学の大学院生がプロジェクトの推進力となって活躍しています。新しい実験を立ち上げるステージでもあり、学生にとっては実験技術全般を学びながら習得していく絶好の機会となります。

ハイパーカミオカンデ実験の実現という同じ夢を持ち、意欲を持った学生の参加を歓迎しています。

大学院進学に関しての詳細は、各大学の参加研究室またはhk-publicatkm.icrr.u-tokyo.ac.jpまでお問い合わせください。

先輩からのメッセージ

東京工業大学 理学院物理学系 久世研究室 博士課程1年 泉山 将大

今どんな研究をされているのですか?

私は、ハイパーカミオカンデ(HK)において、検出器シミュレーションや電子回路の開発をしています。ニュートリノが反応する時に放出される中性子を検出するためのアルゴリズムの開発に携わり、シミュレーションを通じてアルゴリズム性能の評価や検出器の最適化を行っています。

現在、新型の光センサモジュールであるマルチPMTモジュールの導入が検討されていて、その検討に役立てられています。シミュレーションによるHKの設計以外でも、HKは現在建設を開始していて検出器そのものの開発も活発に進められています。検出器の中でも、検出器全体に時報を送り同期するための電子回路を開発しています。

普段、どこでどういうメンバーで研究(作業、観測)をしているのですか?

普段は都内にある研究室で研究しています。神岡にある計算機システムにアクセスすることで、東京からでも不自由なくシミュレーションを行うことができるようになっています。ただ電子回路の開発は実物がないと進められないため、研究室に試験用のセットアップを用意して回路設計や測定をしています。もちろん測定の結果や研究で上手くいっていないことなど議論することも大切で、研究室の先生方と議論したり、毎週、ビデオ会議で神岡や海外にいるスタッフと議論しながら進めています。 研究室内の実験装置で不十分な場合は、神岡や外部の施設に、開発した装置の性能を測定しに出向くこともあります。さらに年に2、3回、HK全体での会議があり、海外の共同研究者も含めて集まり開発の現状や計画を議論しています。コロナの影響を受ける前は、会議に日本人の学生はもちろん海外からも同世代の学生も集まるので、一緒にご飯を食べたりして交流することもありました。

研究は面白いですか?どういうところが?

現在HKは建設途中であり完成に向けて開発が活発に行われています。測定開始に向けて自分もHKの実現に携わり、数年後からは自分が携わった検出器で新しい物理を探索できる非常に面白い時期にあると思います。測定が始まれば、ニュートリノ観測や陽子崩壊探索の感度も大幅に向上され新しい発見が多く期待されていて、完成をわくわくと待ち遠しくしながらそれに向けて研究しています。

なぜ今の分野に進もうと思ったのですか?

小さいときから空を見上げて、宇宙がどうなっているのかと想像するのが好きでした。それから大学で物理を勉強してある程度理解ができましたが、それと同時に宇宙では分かっていないことがまだまだ多いことも分かりました。また同時に小さいときから工作などものつくりも好きで、実験を通じて自分たちの手で宇宙の分かっていないことを解き明かしていくことが面白そうだと思い、この分野に進もうと思いました。

大学院進学を考えている学生さんへメッセージをお願いします。

数年後からの観測開始に向けて活発に準備を進めている面白い時期で、大学院の学生も多く、また日本、海外からの多くのスタッフが協力して研究・開発を進めています。検出器の開発から物理解析に向けた準備など各々の得意なことに合った活躍の場も多いと思います。ぜひ一緒にHKを実現させて観測を楽しみましょう。

東京大学大学院 理学系研究科 塩澤研究室 修士課程2年 三木 信太郎

今どんな研究をされているのですか?

主に2つのことを進めていて、1つがいよいよ製造が始まったハイパーカミオカンデ用のPMTの試験です。実際に作られたPMTを暗室に入れて、微弱な光を当てたときの応答をテストしています。もう1つが、スーパーカミオカンデでの大気ニュートリノ振動の解析です。ニュートリノ振動のパラメータをより精密に測定するために、現在は関連するミューオンの反応について調べています。

普段、どこでどういうメンバーで研究(作業、観測)をしているのですか?

基本的には神岡に長期滞在して研究を行なっています。 HK用PMTの試験は、実際に測定機器を触る作業が多くなるので、実験室でHK光センサーグループのスタッフの人たちと協力して作業しています。普段研究者たちがいる研究棟から少し離れたところなので、研究棟からの移動中や昼食の際などに、他のスタッフと研究内外のことについてお話ししています。

スーパーカミオカンデのデータ解析は、上述の研究棟で行なっています。基本的には一人での作業ですが、ミーティングなどを通して他の解析メンバーからも意見をもらいながら進めています。こちらはネットワークがあれば神岡外にいてもできる作業なのですが、神岡でなら他の学生や先生が近くにいる状況で研究を進められるので、研究の相談などが気軽にできますし楽しいです。

研究は面白いですか?どういうところが?

実際の作業は単純で単調なものも多いですが、この作業によって実験や解析の結果がどう変わるのかなと想像しながらやるのが面白いです。必要な作業を終えて、いよいよ結果が出てくる瞬間はすごくわくわくしますし、その結果を受けて、次はこんなことを試してみようということがたくさん出てきて楽しいです。研究では1つのことがわかるとわからないことが10出てくる、と言いますが、本当にそれを実感しています。

なぜ今の分野に進もうと思ったのですか?

高校生くらいのときに、基本粒子である素粒子のことを理解することでこの世界の現象がすべて説明できるはずだという考え方を知り、それにすごく惹かれました。実際人類が生きている間にそこまで到達できるのかはわからないですが、この世界に対する人類の理解を自分の力で少しでも進めることができたらすてきだな、と思っています。

大学院進学を考えている学生さんへメッセージをお願いします。

この分野では大学院生の時期から世界中の多くの研究者と交流しながら研究を行うことができ、ただ研究室で実験をしているよりも広い世界に触れられているなと感じます。そのような大規模実験の中であっても、研究者一人一人がそれぞれのテーマを持って取り組んでおり、誰もが主体的に、自分のやりたい研究ができると思います。ぜひ多くの方と一緒に、スーパーカミオカンデ・ハイパーカミオカンデのポテンシャルを引き出す研究ができたらなと思います。

慶應義塾大学大学院 理工学研究科 西村研究室 修士課程1年 藤澤 千緒里

今どんな研究をされているのですか?

ハイパーカミオカンデ実験で使用予定の光検出器、光電子増倍管の性能評価と改良の試みを行っています。

普段、どこでどういうメンバーで研究(作業、観測)をしているのですか?

普段は自分の学校の実験室で実験しています。まだ研究を始めたばかりでわからないことも多いので先生や先輩にご指導頂きながら作業しています。 進捗報告や研究会での発表の時にたくさんの先生方や先輩方に考えていなかった影響やほかの研究との関連性などを教えていただく機会もあり、とても勉強になります。 学校の研究室の設備ではできない測定をするときに神岡に行くこともありました。その際、普段進捗報告の際などにオンラインでお話しさせていただいていた先生や先輩方と研究についてだけではなくお話しできてとても楽しかったです。 コロナの影響もありあまり直接お話しできる機会は少ないですが、皆さんとても優しくて楽しく研究を進めることができています。

研究は面白いですか?どういうところが?

面白いです。 誰も結果を知らないことを調べ、測定結果を世界で初めて見ていると思うとわくわくします。 予想と反する結果が出たり、想像していないところにノイズがのっていたりして大変だと思うときもありますが、それはそれで今まで考えていなかった新しいことが見えたということでもあると思うので面白いなと思っています。 また、自分が行った研究が将来様々な物理観測に貢献できるかもしれないというのも魅力的だと感じています。

なぜ今の分野に進もうと思ったのですか?

小さい頃から素粒子が好きだったのと、高校生の頃にスーパーカミオカンデを見学してここで研究がしたい!と思ったからです。

大学院進学を考えている学生さんへメッセージをお願いします。

最初は研究をうまく進められるか不安でしたが先生方や先輩方の皆さんが優しく教えてくださるのでとても楽しく研究をできています。 経験や知識が足らずにわからないことも多いですがその分日々少しずつ成長できていると感じられ、この分野で大学院に進学してよかったなと思っています。