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宇宙ニュートリノの観測

ハイパーカミオカンデではニュートリノそのものの性質を調べる研究だけでなく、その巨大な体積を生かして、宇宙からやってくるニュートリノを観測し「ニュートリノを出すもの」の研究(いわゆる天文学)を行うことも重要です。

太陽ニュートリノ

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スーパーカミオカンデで観測した太陽ニュートリノフラックスの時間変化(赤丸)。横軸は1996年から現在まで。黒丸は太陽の黒点数。スーパーカミオカンデでは黒点数の変化に沿ったニュートリノの数の変化はとらえられていない。[クリックして拡大]

太陽中心部における核融合反応の際に放出されるニュートリノは、太陽を突き抜け約8分でハイパーカミオカンデに到達します。太陽表面に出てくるまでに数十万年かかる光での観測とは異なり、太陽内部の様子を「ほぼ」リアルタイムで知ることができます。

太陽はシュワーベ周期と呼ばれる11年ごとに活動を変化させることが分かっていますが、1996年からニュートリノでの太陽観測を続けるスーパーカミオカンデではそのような兆候は見えていません。ハイパーカミオカンデでより精密に観測を行い、太陽エネルギー源と太陽の進化の解明を目指します。

 

超新星爆発からのニュートリノ

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1987年に発生した超新星爆発SN1987A。右が爆発前、左が爆発後。(copyright Australian Astronomical ObservatoryDavid Malin Images)

太陽の8倍以上の重さを持つ星は、その一生の最後に超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こして中性子星やブラックホールになると考えられています。超新星爆発は宇宙でおこる現象の中で最もエネルギーが大きいものの一つですが、その爆発エネルギーの99%はニュートリノとして放出されます。

スーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデでは1987年2月23日大マゼラン星雲で発生したSN1987Aをニュートリノで捉え、超新星爆発の理論構築に大いに役立ちましたが、スーパーカミオカンデではまだ超新星爆発を捉えられていません。

ハイパーカミオカンデでは超新星爆発の観測範囲を2Mpc (600万光年) まで広げることができます。超新星爆発を捉えることで爆発のメカニズムを詳しく調べ、中性子星やブラックホール誕生へも迫ります。(もちろん、我々の銀河 (10kpc) で超新星爆発が起きた場合には、約5万個というこれまでにない凄まじい数のニュートリノを検出することになるので、ニュートリノをはじめ素粒子の研究も飛躍的に進展します。)

超新星背景ニュートリノ

一方、超新星爆発は宇宙の始まりから現在まで、宇宙のいたるところで起きているはずで、その際に放出されたニュートリノは宇宙全体に「超新星背景ニュートリノ」として蓄積されています。このようなニュートリノは宇宙全体に広がってしまっているので、地球での密度はそれほど多くないですが、ハイパーカミオカンデならば、十分捉えられると考えられています。超新星背景ニュートリノを捉えることで宇宙の歴史と進化について新たな知見が得られます。

暗黒物質探索

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太陽や地球内部で暗黒物質同士が反応して生成したニュートリノをとらえる。[クリックして拡大]

宇宙からは「暗黒物質」が出すニュートリノも飛来しているかもしれません。現在、暗黒物質は多くの証拠によりその存在を疑う余地がありません。しかしその正体は全く不明で、様々な新しい素粒子が候補として提案されています。宇宙を飛び回っているはずのそのような素粒子の暗黒物質は、銀河中心や太陽、それに地球などの重力に捕まってそれぞれの天体の中心に蓄積されることが考えられます。すると他の暗黒物質と出会って消滅し、ニュートリノを生成することが期待されます。

ハイパーカミオカンデでは、捉えたニュートリノの方向が分かるため、銀河中心や太陽から来たニュートリノだということが分かります。巨大な水のニュートリノ望遠鏡で、暗黒物質で作られたニュートリノを探し出せれば、宇宙物理学と素粒子物理学に革新的な進展をもたらすことができます。