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電子回路に時報を送る、タイミング同期システムの開発

ハイパーカミオカンデでは、光電子増倍管が光を検出した時間と光の量を正確に測定する必要があります。ハイパーカミオカンデのタンクは非常に大きいため、タンク底に設置した光電子増倍管からタンクの外までケーブルをのばすと、その全長は150m以上になってしまうと見積もられています。光電子増倍管の信号は微小で、このような長いケーブルを使うと信号が減衰してノイズの影響をうけやすくなってしまいます。このため、現在は光電子増倍管24本につき1つの「読み出し回路」を用意し、これを水中に設置、ここで信号をデジタル化したのちに光ファイバーでタンクの外まで送るシステムを検討しています。

この「読み出し回路」はタンクの様々な場所に設置されることになりますが、それぞれの「読み出し回路」の間で「時計」がそろっていないと、正確な光の検出時間を測ることができなくなってしまいます。各読み出し回路の「時計」をそろえるためには、光ファイバーを用いてタンクの外から基準となる「時報」を送ってやる必要があります。時報は100ピコ秒(100億分の1秒)よりも良い精度で送る必要があります。

現在、この「時報」を送るための電子回路の試作試験を行っています。写真ではオレンジ色の短い光ファイバーを用いて試験した結果、時報の誤差は数10ピコ秒と十分性能を満たすことがわかりました。今後、200mの光ファイバーを用いた試験を行ったのち、より実際に近いシステムを設計、構築する予定です。 このシステムは、東工大を中心に東大宇宙線研およびE3デザイン株式会社が共同で開発しています。

読み出し回路に時報を送るための電子回路の試作試験