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改良型、および新型光センサー保護カバーの試験を行いました

ハイパーカミオカンデや現行実験であるスーパーカミオカンデのアップグレードで使用される新型大型光センサには、連鎖爆縮(*)を防ぐための保護カバーが取り付けられます。装置が深ければ深いほど水圧は上がるため、さらに強力な保護カバーが必要となります。

ハイパーカミオカンデ(水深約60m)では現行のスーパーカミオカンデ(水深約40m)よりも強力なカバーを開発することが重要な課題となっています。そして、実際に使うためには本当に水中で連鎖爆縮が防げることの実証試験が必要となります。これには単に水圧を掛けて試すだけではなく、一つの光センサが壊れても連鎖的に爆縮が起きない事を確認しなければなりません。

我々はすでに2016年3月にこの試験を行っており、試作機の実証試験に成功しています。 今回、その試作機の改良型に加え、樹脂製保護カバー、共同研究者のスペイングループが製作したステンレス製筒型カバー、の計3種類の保護カバーの実証試験を行いました(写真1、2、3)。

(写真1) 試験の様子。保護カバーを付けたセンサを中心に配置し、周囲を裸のセンサで囲む。これを深水に沈め、保護カバー内部のセンサをプッシャーと呼ばれる装置で割り、衝撃波が周りのセンサを破壊しないことを確認する。 中心は改良型カバーを取り付けたセンサ。センサのガラスおよび保護カバー表面には見やすくするためにテープを貼ってある。
(写真2) 今回初めて試験を行った樹脂製の保護カバー。従来のステンレス製試作機に比べて非常に軽量である。
(写真3) スペイン共同研究者が製作した保護カバー。形状が比較的簡易であるため、安価な製造コストが期待される。

試験は2018年3月5日から3月10日まで、前回と同じく北海道空知郡上砂川町にある旧地下無重力実験センター跡地にて行われました(写真4)。

結果、それぞれ80m, 40m, 60mの水深で連鎖爆縮を防ぐことが実際に確認されました。 また、保護カバーの種類による衝撃波発生の違いや、形状や材質の異なるカバーの変形の違いなど、深水下での爆縮という現象を理解する上で貴重なデータを取得することができました。 これらに加え、比較的小型の光センサが深水で爆縮を起こす事の確認、新型の破壊装置の試作機テストなど、成果の多いものとなりました。 このような貴重なデータを短期間で得ることが出来たのは、上砂川町の多大な支援によるものです。

また、今回の試験の前の2月23日には、東京大学宇宙線研究所の亀田純助教が上砂川中学校にて「ニュートリノ講演会」で講演させていただき、生徒さんや町民の皆様、約100名の方にご参加いただきました。

(*)センサが爆縮を起こすときに発生する衝撃波が隣のセンサを割り、それにより発生した衝撃波がさら隣を割る、という連鎖的な破壊現象。

(写真4) 北海道空知郡上砂川町にある旧地下無重力実験センターの建屋。
(写真5) 試験期間の最低気温はマイナス10度を下回った。写真は試験場内に張ったロープに出来た氷柱(つらら)。