HOME > 最新情報 >トピックス > 2017年7月

10気圧に耐えられる水中用ケーブルとコネクタの開発

ハイパーカミオカンデでは、光センサー(光電子増倍菅)を約4万本利用する予定です。各光センサーからは、光センサーを動作させる高電圧を供給するため、及びセンサーからの電気信号をとりだすためのケーブルがとりつけられており、これらを配線する必要があります。スーパーカミオカンデでは、全ての光センサーに70mのケーブルが取り付けられ、これらのケーブルをタンクの外まで引き上げられ、とぐろを巻いています。

スーパーカミオカンデのタンク上にとぐろを巻いている70mのケーブル

ハイパーカミオカンデは検出器が大きく、タンクの中からケーブルを引き出そうとすると、必要なケーブルの長さは150m以上となってしまいます。しかし、長いケーブルは信号の質を劣化させますし、また、この長さのケーブルを検出器が支えなくてはいけません。ケーブルの重さは1mあたりでは100g程度ですが、全体では600トン以上となってしまいます。よって、現在は光センサーに高電圧を供給したり、光センサーの信号をデジタル変換したりする電子回路を、タンク内(水中)に設置することを検討しています。このためにはタンク内でケーブル を接続する必要があります。接続に水中コネクタを用いることができれば、検出器の建設時の手間を大幅に減らすことが可能となります。

水中でケーブル接続するためのコネクタの試作品

現在、水タンクの最大水深を考慮して、10気圧の環境でも利用可能なこと、2500Vの高電圧を供給しつつ信号もやりとりできること、簡単に着脱できること、さらに純水中で水を汚さないこと(部品が溶け出さないこと)といった条件を満たすコネクタの開発を行っています。

これ以外にも、電子回路に電源を供給したり、デジタル変換されたデータを読みだしたりするためにもケーブルを接続する必要があります。今回のコネクタの開発にあたっては、 汎用の外殻と、配線の種別に応じた内側の接続部分を組み合わせた形とすることで、複数の用途に対応出来るものを開発しています。

また、コンピュータ間などの通信に用いられる一般的なイーサネットケーブルは、圧力がかかると変形してしまい、通信速度が遅くなったり、うまく通信できなくなったりすることが知られています。このため、10気圧程度でもケーブルがつぶれず、通信性能が劣化しないケーブルの開発も進めています。ここでも、素材は純水をよごさないものを用い、ハイパーカミオカンデの水の透過率に影響を与えないように配慮しています。