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研究者インタビュー

ハイパーカミオカンデのプロジェクトリーダーである、東京大学宇宙線研究所 塩澤眞人教授がハイパーカミオカンデ実験について解説します。

 

ーーハイパーカミオカンデとは何ですか?

写真ハイパーカミオカンデ装置は、100万トンという巨大な水槽の壁全体に高感度光センサーを並べた、素粒子を検出する装置です。主な目的は大きく分けて2つあって、一つは陽子崩壊という現象を世界最高感度で探索し、発見することと、もう一つはニュートリノの観測です。

陽子崩壊とは、素粒子の仕組みを説明する有望な仮説である、大統一理論で予言されている現象で、陽子崩壊を発見して大統一理論を検証することは、ハイパーカミオカンデの大きな目的です。

 

ーーなぜ100万トンもの巨大タンクが必要なのでしょうか?

陽子崩壊を探す研究においては、タンクの中の水の陽子や中性子が壊れる現象を光センサーでとらえます。これまでの理論研究や実験結果から、陽子の寿命は1035年程度ではないかと考えられています。これは宇宙年齢よりも非常に長い寿命ですが、例えば1035個の陽子を集めれば、全体で年に平均1個、陽子が壊れると考えることができます。検出における効率も考慮すると、必要な水の体積が100万トンになります。またこの規模の実験装置を作れば、ニュートリノの質量やCP対称性といった未解明の性質を調べる事も可能になります。

ーーハイパーカミオカンデ実験でなにが分かるのですか?

もし陽子崩壊が発見されれば、これまでの素粒子の理論が変更され、素粒子理論の枠組みが大統一理論に変更されることになります。これは、誕生直後の宇宙を支配する法則を手に入れることができます。陽子崩壊の発見は、素粒子のみならず宇宙の歴史を解明する大きな一歩になると期待します。

また、ニュートリノと反ニュートリノの性質の違い「CP対称性の破れ」の解明は、ビッグバン時に存在したはずの反粒子がなぜ現在の宇宙にほとんど存在しないのかという謎を解明する手がかりが得られると期待されています。

ーー現在の進捗状況について教えて下さい。

世界13ヶ国の研究者による国際共同研究グループを結成し、協力して実験の設計をまとめているところです。日本は実験をホストする国として大きな役割を担う事を世界から期待されています。

ーー今後の抱負をお願いします。

日本が世界をリードしてきた、陽子崩壊・ニュートリノ研究をハイパーカミオカンデによって飛躍的に発展させたいと考えています。ご理解とご支援をお願いします。